answer
過去も未来も、見たくない。
そんな印象だった。
そんな彼女と
過去と未来、どっちに行きたい?
2年前にそんな話をした。
高校生の時に親友と過去と未来の話をよくしたから、その名残で軽い気持ちで聞いてしまった。
幼い私達は、過去の自分や、未来の自分に、言ってやりたいこと、お互いにしてやりたいことを語り合った。 過去の自分や、未来の自分に会えることがさぞ当たり前のように、なにを言うかを丁寧に話し合ったのだ。
そして最終的には、未来の自分なんて、今と全くおんなじ事言ってるよ。だったら過去の自分達を馬鹿にして帰ってこよう。
そんなオチどころだ。
過去と未来、どっちに行きたい?
こんな私にとっては当たり前のふざけたような話が、きっと魔法使いの言葉のように聞こえていたのだろう。
選べない。
すごく真剣な答えが返ってきてすごく驚いたのを覚えてる。
理由は沢山あったけど、今までずっと、過去も未来も消しさって、今の今を精一杯生きてるんだな。そう思った。
過去も未来も行かない。
ではなくて、
行きたくない。見たくないから。
とこんなふうにも聞こえた。
それはそれで新しかったし、その閉ざされた水瓶の中を知りたいと思った。
選ばないという選択肢、選ぼうとしない選択肢、
私にはあり得なかったけど、選ばないという選択肢を持つ、決めつけのない、優しい人だと思った。
そして、きっと答えは考えていないだけ、もしくは、教えてくれないだけで、この先に確実に導き出される彼女のその回答用紙を知りたかった。
そんな彼女が回答用紙をやっと見せてくれた。
答えのない2択問題の答えを初めて彼女から聞いた気がする。
きっと悩んで出した答えではない。
真剣に考えたものでもない。
過去も未来も自分のものにしたのだと思う。
彼女は、昔、友達は本と同じだといった。
私のことを愛を教えてくれる本だと言った。
本当は、白紙の本に文字を一緒に綴っていた事に気づいてくれただろうか。
本棚に詰められた過去の本は全て読み終え、未来の本を閉じた彼女は、きっと自分の物語の作者になるのだろう。
最期まで主人公の隣に薔薇を添えてくれたら嬉しい。
そしてこの先、ネタバレをし合いながら生きていけたらもっと嬉しい。
ハッピーエンドを前提に。
彼女の模範解答は、私だけのものにしておく。